コラム

<自署批評>
「あっこちゃんと月の輪」
処女作で、38歳くらいのときに書き始めたもの。執筆に一年かかった。とにかく手探りで書いていたのを覚えている。 いきなり小説は書けなかったので、エッセイから始めた。自分のことを語るということは、小説よりも簡単なことだった。 読みやすいものを目指していたけど、結果は頭の痛くなるような文章になってしまっている。小難しいというか、意味が分からないというか、 読んでいると、具合が悪くなった。それでも、なかなか表現としては面白いと思って、一度は読んでいる。読みやすいエッセイというのを想像していた けど、読みやすいかどうかはいまいちである。自分のことを語るということは執筆の際はとても楽なことだった。一番自分が分かっているので、 書くことは苦痛にはならなかった。初めて本にするということで知らないことも多く、出版社を探すのも分からないので、何も考えず幻冬舎の自費出版部門 のほうに電話をする。その後どうなるかなんて全く予想はついていなかった。本屋で注文されることが多いと聞いて驚いた。その後、この本は文庫になる。 今まではブログでしか文章を書いていなかったので、本にするための文章というのを意識して書いていた。書き方が全く違うわけで、 文体なども違う。エッセイらしく書かなくてはならなかったが、少し小難しくなってしまった。あっこちゃんというのは、私のことを呼ぶときに そう呼ぶ人がいたからで、祖母はそう呼んでいた。その祖母は98歳で亡くなったが、もともと国語の教師をしていて、私の 名前を亜紀子とつけたのも祖母だった。祖母が生きているときにこの本を渡したけど、かなり驚いている様子だった。月の輪というのは 祖父と一緒にみた、皆既日食のようなもので、すすをつけた板で、月と太陽の重なりを見たことから、月の輪とつけた。祖母も祖父も 子供の頃は一緒に住んでいたので、その思い出を題名にしたものだ。このエッセイを書くことは、文章を真面目に書くということについて、 初めて考えたことで、今まではブログで自由に好きなように書いていた物を、読み物として、成り立たせる、初めての本だった。 ブログを本にしたいと思ったこともあるが、それは断念して、このようにエッセイを本格的に書くことにした。自費出版であるということは イメージからするとマイナスになるかもしれないが、自費出版でも有名な書籍はたくさんあるので、あまり気にしていない。第一、自費出版でも 印税で戻ってくるわけで、あまり問題でもない。この書籍の印税はもらったが、文庫版の印税はこれからのようである。 あっこちゃんと呼ばれることは嫌ではなかったが、こう呼ばれることが、すごく気になっていて、大人になってからはかなり減ったから、 あまり気にならなくなった。子供なのに、すごく気になることだった。
紀島愛鈴
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「人生なんとかなるもんさ」
この書籍は、あっこちゃんと月の輪の続編として書いていたものを、自己啓発書のような体裁に仕上げたものである。 続編を書いていたので、これも一年執筆に時間がかかった。何も分からず、原稿を送ったら、章立てにしてください。と言われ、 章立てに仕上げた。題名もいくつか候補がある中から、出版社が選んだものである。はじめはあっこちゃんと鍵盤という題名をつけていたけど、 題名を変えるということで、いくつか考えて、出版社に提出した。丁度、「おらおらでひとりいぐも」という小説が芥川賞をとったときで、 それと似たような音にしたもの。本屋に置かれているということで、大宮の本屋さんまで見に行った。自己啓発書ということなので、 何かこの本から得るものがあればいいのだが、いまいち自信はない。この本を読んで、どうにかなった人などいるのだろうか。
紀島愛鈴






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